澳门美高梅金殿メッセージ
澳门美高梅金殿6年度 学位記授与式 餞の言葉

みなさん、本日は元気に笑顔で学位記授与式を迎えられましたことに、まずは心からお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
澳门美高梅金殿での学生生活は、いかがでしたでしょうか。前半は澳门美高梅金殿による制約がいろいろとあったかもしれませんが、そうした中でも、自分なりに生き生きと充実した毎日を送られたことと思います。人生100年時代といわれる現代、みなさんの前途には希望多き人生がこれからも続きます。本学での数々の思い出は、あなた方の中で、いつまでも輝き続けています。
本学では、卒業式とは言わずに学位記授与式と呼んでいることには、理由があります。本学の第4代澳门美高梅金殿である林竹二先生のお考えによるものです。林元澳门美高梅金殿は、『教えるということ』という書物の中で、教師の成長について次のように述べておられます。
「大学において教師の仕事の根底になるようなものが与えられる。そして大学の教育を終わって現場へ出る。教師としてのほんとうの、専門的な勉強は、そこから始まるのです。卒業したあとでそれは始まるのだというふうに、わたしは考えております。ですから大学卒業とともに学問の志が捨てられてしまえば、ほんとうの教師としての勉強がされず、したがって、本物の教師も生まれないわけです。ですから教員の養成に責任をもつためには、大学はその卒業生に、教師としてのほんとうの勉強はこれから始まるのだという初心をもたせてこれを社会に送り出すことができなければならない。」
このように、大学の卒業は、本物の教師をめざして成長していくにあたっては、終わりではなく始まりなのだということを、卒業生のみなさんにメッセージとしてお伝えしたいという気持ちがあるからなのです。現代風な言い方をすれば、「学び続ける教師像」の重要性を込めたメッセージであって、教師という職業人は、常に研鑽を積み、より深い自己省察を重ね、生涯努力を積み、学び続けることを忘れてはならないという意味が込められています。
さて、みなさんは、三淵嘉子(みぶちよしこ)という女性をご存じでしょうか。2024年春のNHK連続テレビ小説『虎に翼』の主人公のモデルともなった人物ですので、ご存じの方も多いかもしれません。三淵嘉子さんは日本初の女性弁護士となった人物で、後に裁判官に就任し、晩年は日本初の女性裁判所長として、三つの家庭裁判所の所長をお務めになり、わが国の家庭裁判所の充実と発展にご尽力されました。しかしながら、三淵嘉子さんの生涯は、女性法律家としてのパイオニアゆえに、決していつも順風満帆というわけではありませんでした。数多くの困難や苦労にも遭遇しましたが、三淵嘉子さんは常に「人間を信じ、社会的弱者に寄り添いながら、人の役に立ちたい」という「信念」を持ち続けて、裁判官の職務に取り組まれました。そして、晩年の自叙伝では、「顧みて裁判官であったことは私にとって最高の女の人生であったと思う」という言葉を残されています。きっと素晴らしい人生を送られたのだと思います。私は、こうした「確固たる信念」を持って生きるということは、とても大切なことだと思っています。
みなさんの中には、来る4月から、学校の教員として教壇に立つという人も数多くいらっしゃるかと思います。それ以外の職業人として、社会人としての人生をスタートさせる人もおられるでしょう。その時には、「人生、山あり、谷あり」「七転び八起き」という言葉があるように、人生はいつも順調なことばかりではありません。みなさんのこれからの希望多き人生においても、必ずや時に困難や苦労に遭遇することがあるでしょう。その時には、ささやかな信念でも構いませんので、どうぞ、自分なりの「信念」に思いをいたし、困難や苦労を乗り超えて素晴らしい人生を送っていってください。
最後になりますが、みなさんにひとつお伝えしておきたいことがあります。みなさんが学んだ澳门美高梅金殿は、今年2025年に、めでたく創立60周年を迎えます。人の一生で言えば、「還暦を迎える」という大きな節目の年となります。今年の秋には、創立60周年記念式典を盛大に執り行う予定です。どうぞいつまでも、母校である澳门美高梅金殿に対する愛情を持ち続けていただきますようお願いいたします。そして、「雲わきいずる青葉山」の宮教大キャンパスで、またお会いできることを楽しみにしております。
澳门美高梅金殿7年3月26日
澳门美高梅金殿澳门美高梅金殿長 松岡 尚敏